問題解決する栄養療法⾷品

STOP the 体重減少!

ここで学べること
「どうして痩せるのか」「痩せたら何がいけないのか」「痩せないためにはどうすればよいのか」そんなハテナにQ&Aでお答えします。

【2】


高齢者の痩せの原因を知ろう


高齢者には痩せている方が多く見受けられますが、「年だから当たり前」と見過ごされていることも多いようです。高齢者の痩せには、高齢者特有の要因もあります。さて、その要因とは?


監修 佐々木 淳(医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長)



Q6.高齢者の「痩せ」は、どのようなことが引き金として考えられますか?


「食べているから大丈夫」という思い込みや、食べられない状態が改善されない環境が引き金になると考えられます。


「食べているから大丈夫」といっても、以下のような状況が続くと「痩せ」につながります。


  • 少食・偏食:食事量が少ないもしくは栄養バランスが偏った食事内容。
  • 運動量の低下:筋肉量の減少や食欲の低下に。
  • 持続的な体調不良:発熱やだるさといった炎症反応によるエネルギー消費量の増加。
  • 口の中や飲み込みの状態が悪い:食事がうまく食べられない。
  • 認知機能の低下:食事の準備ができない、忘れてしまうなど。2-6-1.png

環境的な側面も「痩せ」につながる要因として見逃せません。


  • 経済的な問題:1食分の食事を3回に分けて食べる、などによる食事量の減少。
  • 孤食:孤独感や食べる楽しみを感じにくい状態では、食欲が低下しやすい。2-6-2.png



Q7.低栄養と「痩せ」の関係とは?


必要なエネルギーを十分に摂取できない(低栄養)状態にあると、不足しているエネルギーを補うために筋肉を分解します。すると、筋肉量が減少し筋力も低下するため、「痩せ」が発生。活動量が低下することで食べる量が減って、更なる負のスパイラルが起こります。


筋肉量が減ると筋力の衰えにもつながり、転倒や骨折のリスクだけではなく、飲み込みの機能の低下による誤嚥性肺炎のリスクや「痩せ」につながります。日々の健康管理では低栄養にならないよう、飲み込みの状態に合わせた食事形態と積極的な栄養補給を意識していくことが大切です。


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Q8.ご飯を食べているのに、痩せることがあるのでしょうか。


食べていても身体が必要とする栄養素が十分に摂れていなければ、低栄養に陥りやすく「痩せ」につながります。


訪問看護師を対象に行われた「栄養介入・栄養ケア実態調査」では、食べていると回答した方でも、痩せや体重減少などの問題を抱えていることがわかりました。食べている量そのものが少ない、消化吸収障害がありエネルギーが吸収できない、傷やヤケドなどの炎症により消費エネルギーが相対的に多くなることで足りなくなっている、などにより低栄養が引き起こされます。


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※栄養介入・栄養ケア実態調査概要:●調査主体:ニュートリー株式会社 ●調査協力:株式会社メディバンクス ●調査対象:全国の訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師で、利用者の栄養介入状況などを把握している方。または、看護師で以下の対象条件を全て満たす利用者の担当者。〈1〉経口摂取可能〈2〉半年以内の介入〈3〉75 歳以上〈4〉本調査許諾者 ●回収方法:FAX で提出 ●回収期間:2022年8月25日~10月28日 ●回収総数:①事業所281件 ②居宅療養高齢者378名




Q9.在宅高齢者の「痩せ」の要因は何ですか?


「飢餓」と「炎症」が、痩せの2大要因です。


在宅高齢者が痩せる要因は主に2つあります。1つは必要な栄養量が継続的に摂れていない「飢餓」。在宅高齢者は「食べる量が少ない」「食べる力が衰えている」などにより、必要な食事量を摂れていないことが多くあります。もう1つは、基礎疾患などにより多くのエネルギーを消耗する「炎症」です。在宅高齢者の多くは基礎疾患を抱えており、慢性的な炎症に伴い、通常より多くのエネルギーを消耗しています。この「飢餓」と「炎症」により栄養不足が続くと、筋肉を分解し不足しているエネルギー源を補おうとします。その結果、痩せてしまうのです。2-9.png


【1】高齢者の体の特徴を知ろう
【2】高齢者の痩せの原因を知ろう
【3】高齢者の痩せのリスクを知ろう
【4】痩せ(低栄養)の判断基準を知ろう
【5】 痩せないための方法を知ろう
【6】痩せないための食事をしよう